民泊のリピーターを直接予約につなげるには|規約を守ってできることの線引き

お悩み解決

結論:リピーターは「増やす」前に、すでに取りこぼしています

「レビューには『また来ます』と書いてもらえるし、評価も悪くない。でも、リピーターが増えている実感がない」——一棟貸しや民泊を運営されているオーナーさんから、よくお聞きする悩みです。

このとき多くの方が考えるのは、「もっと満足度を上げよう」「もっと丁寧に対応しよう」という改善の方向です。もちろんそれは間違いではありません。ただ、その前に確認していただきたいことがあります。

「また来たい」という気持ちは、すでに発生している可能性が高い。問題は、その気持ちを受け止める場所が用意されていないことのほうです。

再訪しようとしたゲストが、施設名を思い出して検索する。ところが検索しても自社サイトが出てこない。結局、予約サイトで探し直して予約する。オーナーには、手数料が引かれた金額が入金される——この流れが毎回繰り返されているとしたら、それは「リピーターがいない」のではなく、リピーターを毎回プラットフォームに返してしまっている状態です。

この記事では、その構造を整理したうえで、予約サイトの規約に抵触しない範囲で何ができるのかを線引きします。先にお伝えしておくと、「次回は直接ご予約ください」と伝えるようなやり方は、この記事では一切おすすめしません。理由は後半で詳しく書きます。

「また来たい」は、すでに発生している

まず、事実確認から始めます。

レビューに「また泊まりたいです」と書いてもらったこと、チェックアウトのときに「またお世話になります」と言われたこと。運営を続けているオーナーさんなら、ほとんどの方に経験があるはずです。

問題は、その言葉が実際の再予約につながったかどうかを、誰も確認していないことです。

「また来ます」と言われた記憶はある。でも、その人が本当に戻ってきたかどうかは分からない。多くの現場がこの状態にあります。予約が入るたびにゲスト名を過去の宿泊者と照合している、という運営はまずありません。

まず、管理画面で確認できます

ここは推測で済ませずに、実際に数えられます。

Airbnbをはじめとする予約サイトの管理画面では、過去の予約履歴を一覧で確認できます。同じゲスト名が2回以上出てきていないか。同じ時期に毎年来ている人がいないか。ざっと眺めるだけでも、傾向はつかめます。

思っていたよりリピーターがいたなら、あなたの施設には再訪の動機がすでにあります。あとは、それをどこで受け止めるかという話です。

やはりほとんどいなかった場合も、「満足度が足りない」と結論づけるのは早すぎます。レビューで高評価をもらえているなら、動機の問題ではない可能性が高いからです。次の章が、その説明になります。

いずれにしても、リピーターがゼロなのではなく、リピーターが見えていないだけかもしれない。まずはそこを確認するところからです。

再訪しようとした人が、どこで止まっているか

滞在に満足し「また来たい」と思う 再訪の動機は、ここですでに発生している 数ヶ月後、うろ覚えの手がかりで検索する 「富士山が見えた家」「薪ストーブの家」 自社サイトがないので、検索しても出てこない 受け止める器が用意されていない ここで止まっている 結局、予約サイトで探し直して予約する ゲストにとって、そこが唯一の入口だった 再訪でも、あらためて手数料が発生する これが毎回くり返されている ゲストは何も間違えていない。他に選択肢がなかっただけ ※リピーターがゼロなのではなく、受け止める場所がなかった

ここがこの記事の中心です。ゲスト側の行動を、時間の流れで追ってみます。

1. 数ヶ月後、ふと思い出す

「去年泊まった、富士山が見えたあの家、よかったな」。ここまでは順調です。再訪の動機は、すでに発生しています。

2. ところが、施設名が思い出せない

これが最初の壁です。ゲストは施設名を正確には覚えていません。覚えているのは「富士山が見えたリビング」「薪ストーブがあった家」「湖まで歩いてすぐだった」といった、体験の断片です。

3. 覚えている手がかりで検索する

うろ覚えの施設名か、印象に残った特徴で検索します。

4. しかし、検索結果に出てくるのは予約サイトのページだけ

自社サイトがない、あるいはあっても施設名で検索して出てこない状態であれば、並ぶのは予約サイトの施設ページだけです。ゲストにとって、そこが唯一の入口になります。

5. そこから予約し、手数料が発生する

ゲストは予約サイトで予約します。そしてオーナーには、手数料が引かれた金額が入金されます。

ここで押さえておきたいのは、ゲストは何も間違えていないということです。 他に選択肢がなかっただけです。そして予約サイト側も、何も悪いことはしていません。新規のゲストを連れてきてくれる仕組みとして、依然として有用です。

問題があるとすれば、「また来たい」という気持ちを受け止める器を、こちら側が用意していなかったという一点だけです。

手数料の仕組みそのものについては、こちらの記事で書いています。

Airbnb手数料が高いと感じたら|富士五湖56施設調査からの対策
Airbnbの手数料は本当に必要経費でしょうか。富士五湖エリアの掲載施設56件を独自調査したところ、78.6%が自社サイトを持っていませんでした。手数料の仕組みから、自社サイトで変わること、そして見落とされがちな落とし穴まで解説します。

【重要】やってはいけないこと

方法の話に入る前に、必ず先にお伝えしなければならないことがあります。

Airbnbをはじめとする予約プラットフォームは、規約でプラットフォーム外への予約誘導を禁止しています。以下のような行為は、規約に抵触する可能性が高く、この記事では一切おすすめしません。

– 滞在中やチェックアウト時に「次回は直接ご予約ください」と口頭で伝える

– プラットフォームのメッセージ機能で、自社サイトのURLや電話番号・メールアドレスなどの連絡先を渡す

– 施設内に「直接予約なら割安です」といった案内を掲示する、あるいはそうしたカードを置いておく

– ゲストの連絡先を控えておいて、チェックアウト後にこちらから営業目的の連絡をする

なぜ危険なのか

単に「ルール違反だから」という以上に、失うものが大きすぎるからです。

掲載停止やアカウント停止のリスクがあります。プラットフォーム側は、メッセージのやりとりを含めて規約違反の検知を行っています。悪意がなかったとしても、措置の対象になる可能性があります。

そして、停止された場合に起きることを想像してみてください。リピーターを取り込む以前に、新規ゲストの流入がゼロになります。 さらに、何年もかけて積み上げてきたレビューも一緒に失われます。レビューは、新しく作り直せるものではありません。

手数料を惜しんだ結果、集客の入口そのものを失う。 これは、どう計算しても割に合いません。この記事の後半で試算しますが、リピーターの直予約で得られる金額は、年に数万円規模です。掲載停止で失うものとは、桁が違います。

規約は変わります。必ずご自身で確認してください

ここに書いた内容は、執筆時点(2026年8月)**の一般的な理解にもとづくものであり、規約の解釈を断定するものではありません。各プラットフォームの規約は改定されますし、細かい運用も変わります。

判断に迷う行為については、必ず最新の公式規約・ヘルプページをご自身で確認してください。「たぶん大丈夫だろう」で進めるべき領域ではありません。

では、何ができるのか

ここからが本題です。規約に抵触しない範囲でも、できることは確実にあります。

共通する原則は一つです。こちらからゲストに働きかけるのではなく、ゲストが自分で探したときに見つかる状態を作っておくこと。 この線引きさえ守れば、リスクを負わずに再訪を受け止められます。

規約に抵触するおそれのある行為 規約に抵触しない行為 滞在中に「次回は直接ご予約を」と伝える メッセージ機能で外部の連絡先を渡す 館内に直予約への誘導を掲示する 滞在後にこちらから営業連絡をする 掲載停止・アカウント停止のリスク 新規ゲストの入口も、積み上げたレビューも まとめて失うおそれがある 施設名で検索したとき自社サイトが出る Googleビジネスプロフィールを整える 記憶に残る特徴をページに書いておく 滞在そのものの満足度を上げる こちらから働きかけない ゲストが自分で探したときに 見つかる状態を作っておくだけ ※規約は改定されます。判断に迷う行為は必ず最新の公式規約をご確認ください

1. 施設名で検索したときに、自社サイトが出るようにする

もっとも重要で、もっとも効果が分かりやすいのがこれです。

ゲストが自分の意思で検索し、その結果に自社サイトが表示される。これは誘導ではなく、単に情報が存在しているだけですから、規約に触れる余地がありません。

施設名を、ページタイトルと本文の両方に明記する。 意外に抜けているケースがあります

施設名で検索されることを前提にページを作る。「一棟貸し 河口湖」のような一般的なキーワードで上位を狙うのは大変ですが、自分の施設名で自分のサイトが出る状態を作るのは、比較にならないほど簡単です

予約サイトの掲載名と、自社サイトの名称を揃える。ここは見落とされがちです。予約サイトでは「Villa ◯◯ 河口湖」、自社サイトでは「◯◯ハウス」といった表記ゆれがあると、ゲストが覚えている名前で検索しても見つかりません

2. Googleマップ(Googleビジネスプロフィール)を整える

宿泊施設としてGoogleビジネスプロフィールに登録し、写真・営業情報・ウェブサイトのリンクを整備しておきます。

施設名で検索されたとき、地図情報と一緒に自社サイトへのリンクが表示されます。スマートフォンで検索する人が多いことを考えると、この効果は無視できません。「あの家、なんて名前だっけ」と地図アプリで周辺を探す、という行動も現実にあります。

外国人ゲストが多い施設の場合、Googleマップの情報整備は多言語対応の一部にもなります。Google側が各言語に翻訳して表示してくれるためです。

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3. 「前回の滞在」を思い出せる情報を、サイトに置いておく

前述のとおり、ゲストは施設名を覚えていません。覚えているのは体験のほうです。

だとすれば、その体験の断片で検索されることを前提に、サイトを作っておくのが理にかなっています。

– 「富士山が見えるリビング」

– 「薪ストーブのある一棟貸し」

– 「湖まで徒歩3分」

– 「大きなダイニングテーブルで10人集まれる」

こうした記憶に残りやすい特徴を、写真だけでなく文字としてページに書いておく。検索エンジンが読むのは文字だからです。これは新規のゲストにも効くので、再訪ゲストのためだけの作業にはなりません。

4. 滞在の満足度を上げること自体は、規約と無関係です

当然のことですが、念のため。良い滞在体験を提供すること、施設を良くすること、丁寧に対応すること。これらは規約とは何の関係もありません。再訪の動機は、ここから生まれます。

ただし、この記事は接客やホスピタリティの話ではなく、仕組みの話ですので、これ以上は踏み込みません。

5. SNSは「誘導」ではなく「発信」なら問題になりにくい

施設のInstagramなどのアカウントを運用し、日常や季節の様子を発信しておく。ゲストがそれを自分で見つけてフォローする。この形であれば、こちらから働きかけているわけではないので、自然な範囲に収まります。

ただし、プラットフォーム上のメッセージや施設内の掲示でフォローを促す行為については、規約上の扱いを確認する必要があります。外部連絡先の提供とみなされる可能性があるためです。ここは断定を避けますので、実施される場合は必ずご自身で最新の規約をご確認ください。

直予約が入り始めたら、次に考えること

自社サイトから問い合わせや予約が入るようになると、新しい検討事項が出てきます。先回りして整理しておきます。

在庫管理の問題が発生します。予約サイトと自社サイトの両方で予約を受けるようになると、日程の重複、いわゆるダブルブッキングのリスクが生まれます。複数の予約サイトと自社サイトを併用する場合の在庫管理については、こちらで解説しています。

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決済をどうするか。事前振込、現地払い、オンライン決済のいずれかです。件数が少ないうちは事前振込か現地払いで十分に回りますし、オンライン決済は件数が増えてから検討しても間に合います。

キャンセルポリシーを自分で決める必要があります。直予約では、何日前まで無料か、それ以降は何%かを、自分で決めて明記しなければなりません。予約サイトのポリシーを参考に、自分の運営に合わせて設定すれば大丈夫です。

最初は、問い合わせフォームだけで十分です

ここが一番大切かもしれません。

「オンライン決済もカレンダー連携も整えてからでないと始められない」と考えて、結局何も着手できないまま1年が過ぎる。これが最悪のパターンです。

最初は、問い合わせフォームが1つあれば足ります。「空室を確認する」ボタンから問い合わせが届いて、メールで日程を調整して、振込で決済する。それだけでも、直予約は成立します。

年に数件の再訪を受け止めるだけなら、この運用で何の問題もありません。件数が増えてきてから、次の仕組みを考えればいいのです。完璧を目指さず、小さく始める。この考え方は、このシリーズを通じて変わりません。

数字で考える:実際にいくらの差になるのか

現実的な規模感を、試算で確認しておきます。誇張したくないので、控えめな前提で計算します。

仮に、1泊3万円の施設で、2泊の予約が1件入ったとします。宿泊料金は6万円です。

仮に手数料率を15%とすると、1件あたりの手数料は9,000円になります。

年間の直予約件数手数料の差額(仮定:1件6万円・手数料15%)
3件 27,000円
5件45,000円
10件90,000円
20件180,000円

※手数料率は執筆時点で一般的とされる水準を仮定した試算です。実際の料率はプラットフォーム・プラン・予約条件によって異なりますので、ご自身の管理画面で実際の控除額をご確認ください。

大きな数字ではありません。でも

年に5件で45,000円。月あたりにすれば4,000円弱です。これを「大きな金額」と言うつもりはありません。

ただ、比較の対象を変えると見え方が変わります。自社サイトの維持費——ドメイン代とサーバー代——は、年間で1万数千円程度に収まることが多いはずです。年に2〜3件の直予約があれば、サイトの維持費は回収できる計算になります。

そして、直予約のゲストは、施設名を知っていて、前回泊まって満足している人です。集客コストがかからず、説明の手間も少なく、トラブルも起きにくい。金額に表れない部分での楽さがあります。

一方で、正直に書いておくべきこともあります。自社サイトを作ったからといって、翌月から直予約が入り始めるわけではありません。 検索結果に出てくるようになるまでには時間がかかりますし、そもそも再訪のタイミングは年単位です。効果が見え始めるまで、半年から1年は見ておくのが現実的です。

だからこそ、始めるのが早いほうがいいという話でもあります。

まとめ

リピーターは、増やす前に取りこぼしています。 「また来たい」という気持ちはすでに発生していて、それを受け止める場所がないだけ、というケースが少なくありません

規約違反の誘導は、絶対にしない。 滞在中の口頭案内、メッセージでの連絡先提供、館内掲示、後日の営業連絡。これらは掲載停止やアカウント停止のリスクがあり、失うものが大きすぎます

できるのは「ゲストが自分で探したときに、見つかる状態」を作ること。施設名での検索に自社サイトが出るようにする、Googleビジネスプロフィールを整える、記憶に残る特徴を文字で書いておく。この3つが軸です

金額は年数万円規模。誇張はしませんが、サイトの維持費を上回る規模ではあります

最初は問い合わせフォームだけで十分。完璧な仕組みを整えてから、と考えて着手できないのが一番もったいない状態です

規約は変わります。 本記事の内容は執筆時点のものです。判断に迷う行為は、必ず最新の公式規約をご自身で確認してください

そのうえで、今日できることを一つだけ。

予約サイトの管理画面を開いて、過去の予約一覧に同じゲスト名が2回以上出てきていないか、確認してみてください。15分もあれば終わります。

再訪の実績があるなら、動機はすでにあります。あとは、それを受け止める場所を用意するだけです。見当たらない場合も、レビュー評価が悪くないのであれば、動機ではなく入口の問題である可能性が高いと考えられます。

そのうえで、「自社サイトを作るとして、何から手をつければいいか分からない」「今のサイトが施設名で検索して出てこない」という方は、下記からお気軽にご相談ください。

– LINEで気軽に相談する → https://line.me/R/ti/p/@570knitd

ご注意

本記事に記載した各プラットフォームの規約に関する記述は、いずれも執筆時点(2026年8月)の一般的な理解にもとづくものであり、特定の行為の可否を保証したり、規約を有権的に解釈したりするものではありません。規約は改定される可能性がありますので、実際の運用にあたっては、必ず各プラットフォームの最新の公式規約およびヘルプページをご確認ください。

また、記事中の手数料の試算は、執筆時点で一般的とされる水準を仮定したものです。実際の料率・控除額はプラットフォーム、プラン、予約条件によって異なります。

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